ブランドジュリエ Paris通信 パリのクリスマス
段ボールで出来た
クリスマスツリー?!
今年もクリスマスシーズン到来!
11月半ばを過ぎると、街のウィンドーにクリスマス飾りがちらほらし始めるのは、日本も同じことと思います。
パリの場合は、
特にオペラ座裏のオスマン通りにある百貨店、
ギャラリーラファイエットとプランタンにクリスマス飾りが登場すると、いよいよ年の瀬という感じ。
今年のギャラリーラファイエットのクリスマスツリーはどんなだろう?と、楽しみにしている人は少なくなりません。
2022年は、コロナ禍から続くあらゆる原材料不足に加え、
ウクライナの戦争、それに伴うエネルギー問題、環境破壊と気候変動・・・
緊急を要する問題の数々を、
日常的に意識せざるを得ない1年でした。
ヨーロッパの深刻なエネルギー問題は、
日本でも多少ニュースになったかもしれません。
10月、フランスのガソリンスタンドは
ガソリン不足で閉鎖するところが相次ぎ、
営業しているガソリンスタンドには給油を待つ車が大渋滞、という、信じられない事態になりました。
11月に入ると調整されましたが・・・
こういった現状を受け、パリ市は現在、
歴史的建造物のライトアップを22時以降消灯しています。
なんとエッフェル塔も23時45分に消灯、
名物のキラキラの照明は23時が最終回です。
ストラスブールの大学は、暖房費を抑えるためにクリスマス休暇を長くする、など、省エネは本当に身近で深刻な問題。
そんな中で、クリスマスをいかに祝うか、
パリの百貨店はどこも悩んだはずです。
年に一度の、一番大切なイベントだからといって、
あまりにも華やか過ぎるのは時勢にそぐいませんし、
反対に、地味になるのも寂しいです。
ただでさえも社会問題の多い昨今なのですから、
せめてクリスマスくらいは幸せムードに包まれたいもの。
そこで、ギャラリーラファイエットは
どんなクリスマスツリーを作ったと思いますか?
そうです、段ボールでできたツリーが、
歴史的建造物のガラス天井の下にお目見えしました!
段ボール製のクリスマスツリーは、
実はここ数年の隠れたトレンド。
毎年クリスマスツリーのためにモミの切る(つまり、そのために豊かな森の木を伐採して、モミの木を栽培する)ことに
反対する人たちが、選んでいるソリューションの一つなのです。
畳んである段ボールを開くと、
立体的なクリスマスツリーの形に広がる、というつくり。
でもやっぱり、
本物のモミの木に比べると地味なのが辛いところ・・・
そんな中、フランス最大の百貨店ギャラリーラファイエットが、段ボール製のクリスマスツリーを採用するとは!
しかも全然寂しくも地味でもありません。
目に鮮やかなグリーンが、
なんとも元気でワクワクしませんか?
アートディレクターさん、いい仕事しましたね!
厳しい時だからこそ
知恵を使うのは、フランス人の得意技だと思います。
そんな彼らのエスプリに学んで、さて、
今年のクリスマスツリーはどんな飾りにしましょう。
今年のギャラリーラファイエットのクリスマスは、「プラネット・サパン」(モミの木の惑星)がテーマです。
やっぱりクリスマスは子供のたちのもの!
その基本を大切に。
夜のイルミネーションは、やっぱり気持ちが高揚します。
本当に、年の瀬、という感じ。
クリスマスが明けた1月、パリ市の公園のあちこちに、
こんなふうにモミの木の回収場所が登場します。
集まった樅木は細かく砕いて、
パリ市の公園のガーデニングに再利用されます。
砕いたモミの木で花壇を覆い、
保温、保湿、そして雑草対策ですね。
周辺が爽やかなモミの木の香りに包まれるのも
また、メリットの一つだと個人的に感じています。
そんなパリの冬。
みな様もどうぞいい年越しを。
それではまた、
アビアントー!
Keiko SUMINO-LEBLANC
パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者
1997年からパリに移住。
パリでの結婚・子育てを経て
フリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、
フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。